FC2ブログ
詩人の血
コクトーの『詩人の血』に学んで
DATE: 2021/05/14(金)   CATEGORY: 自由詩
立原道造詩集より

『午後に』

ある日悲哀が私をうたわせ
否定が 私を酔わせたときに
すべてはとおくに 美しい
色あいをして 見えていた

涙が頬に かわかずにあり
頬は痛く ゆがんだままに
私はそれを見ていたのだが
すべては明るくほほえむかのようだった

たとえば沼のほとりに住む小家であった
ざわざわと ざわめき鳴って すぎて行く
時のなかを朽ちてゆく 窓のない小家であった………

しかし 世界は 私を抱擁し
私はいつか 別の涙を流していた
甘い肯定が 私に祈りゆするために

『立原道造詩集』より

*坂本龍一氏の癌からのご回復を深く深く祈念しつつ。
スポンサーサイト




コメントの投稿

 管理者にだけ表示を許可する

トラックバック
トラックバック URL
Copyright © 詩人の血. all rights reserved.