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詩人の血
コクトーの『詩人の血』に学んで
DATE: 2020/05/30(土)   CATEGORY: 自由詩
『のちのおもひに』立原道造

『のちのおもひに』立原道造

夢はいつもかへつて行った 山の麓のさびしい村に
水引草に風が立ち
草ひばりのうたひやまない
しづまりかへつた午さがりの林道を

うららかに青い空には陽がてり 火山は眠つてゐた
ーーそして私は
見て来たものを 島々を 波を 岬を 日光月光を
だれもきいてゐないと知りながら 語りつづけた………

夢は そのさきには もうゆかない
なにもかも 忘れ果てようとおもい
忘れつくしたことさへ 忘れてしまつたときには

夢は 真冬の追憶のうちに凍るであろう
そして それは戸をあけて 寂廖のなかに
星くづにてらされた道を過ぎ去るであらう

*24歳で夭折。
*「永遠の詩法」の人。
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