軍艦茉莉(ぐんかんまり)
軍艦茉莉(まり)
「茉莉」と読まれた軍艦が、北支那の月の出の
碇泊場(ていはくば)に今夜も錨を投(い)れている。
岩塩のようにひつそりと白く。
私は艦長で大尉だつた。娉嫂(すらり)とした
白皙(はくせき)な麒麟のやうな姿態は、われ
乍(ながら)麗はしく婦人のやうに思はれた。
私は艦長公室のモロッコ革のディワンに、
夜となく昼となくうつうつと阿片に憑かれ
ただ崩れていた。(安西冬衛)
「茉莉」と読まれた軍艦が、北支那の月の出の
碇泊場(ていはくば)に今夜も錨を投(い)れている。
岩塩のようにひつそりと白く。
私は艦長で大尉だつた。娉嫂(すらり)とした
白皙(はくせき)な麒麟のやうな姿態は、われ
乍(ながら)麗はしく婦人のやうに思はれた。
私は艦長公室のモロッコ革のディワンに、
夜となく昼となくうつうつと阿片に憑かれ
ただ崩れていた。(安西冬衛)
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