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詩人の血
コクトーの『詩人の血』に学んで
DATE: 2011/01/26(水)   CATEGORY: 自由詩
十字架幻想
     「しめ縄で括られた十字架」


北の海は叫ぶ
雪つぶては地を這って
海岸線に砂と雪で蛇体の不思議な模様を作る

灰の空から
風は叩きつけ
雪はゆさゆさと翻弄されて
地面にあてどなく積もる

近海でできた低気圧が通り過ぎ
海が凪ぐと
私は海岸へと降りてゆく

潮騒がひたと止まった空気を震わせて
北の海がそっとその扉を開ける

ごろごろと大きな石が浜の中ほどまで続く

その先の波打ち際に光の華が咲く
黒雲が湧き出ては消える方向に
太陽の光が集中して地面に降り来ている

そこもここも灰に塗り込められようとする色彩に
黄金の陽光が一直線に降りる


己の息さえ聞こえてきそうな凪の静寂
波の砕ける音が海霊を告知する
受胎が告知される

海が産む流木は嬰児
そら そこここに
産まれたての子が置かれているだろう
私たちに大事にしてくれと言っているだろう

凪の北の海は潮騒にまじって
流木の嬰児のうぶ声が聞こえる

一人 凪いだ海をゆっくり散歩する

海霊の羊水に浸りきって
成長し磨かれた胎児
流木とじっくり見つめ合う

秋祭りで町内に張られた蛇体の注連縄で
二体の流木を十字に括りつける

蛇体が十字架を形作る
注連縄が流木を繋ぎとめている

神棚へ十字架は奉納された


*キリスト教本地垂迹説
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